社内調査をしても何も変わらないのは、結果を配って終わるからです
アンケートを取って、集計して、結果を共有しました。それでも三ヶ月後、職場は何も変わっていません。結果を分けるのは設問の出来より、集計したあとに何をするかです。

AI活用の社内調査は、いま多くの会社がやっています。利用率を聞き、困りごとを聞き、集計してスライドにします。ここまでは丁寧にやるところが多いのですが、そのあとがだいたい同じ形になります。結果を全社に共有して、そこで終わります。
測ることは目的ではありません。調査が仕事として成立するのは、参加した人が「自分の職場には、どの役割が欠けているのか」に気づくところまで進んだときだけです。そこまで進まずに結果を配ると、受け取った側には数字の感想しか残りません。
自分の会社で調査をやる立場の人にも、受けさせられる側の人にも読めるように書きます。診断を受けたことがある人なら、途中で「あのとき結果はどうなったんだっけ」と思い出すはずです。その「どうなったんだっけ」が、この記事の主題です。
見える化で止まると、何が起きるか
調査には段階があります。個人が自分の結果を見て、次に組織全体の分布を見て、最後に足りない役割に気づきます。配って終わる運用は、たいてい2つ目で止まっています。
止まったところで起きるのは、犯人探しか、無関心です。「うちは利用率が低い」という数字だけを渡された人にできるのは、誰かの意識の低さを疑うか、自分には関係ないと決めるかのどちらかです。どちらも次の行動につながりません。
3つ目まで運ぶと、話が変わります。「新しい使い方を持ち込む人が、うちには一人もいない」と分かった瞬間、話題が人から席に移ります。埋まっていない席をどうするかという話になるので、誰も責めずに次の一手を決められます。
私たちが実際に回している60分
私たちは、RELACTISの診断を研修の中に置いて使うことがあります。そのときの進行を書きます。所要時間は設計上の割り当てで、実測の記録ではありません。そのつもりで読んでください。
- 最初の10分は理論にあてます。なぜ人によって向いている役割が違うのかを先に立てます。ここを省くと、診断が唐突になります
- 次の10分で、その場で受けてもらいます。後日回収にはしません。持ち帰りにすると、回収率が落ちて分布が歪みます
- 15分の休憩を入れます。これは休憩であると同時に、集計の時間です。ここを削ると「結果は後日メールで」になって、この設計は成立しません
- 20分で結果を見て、話します。ここが本体です。見ていく順は、自分の結果、組織の分布、足りない役割です
- 最後の5分で、誰が何を持ち帰るかを決めます
設計の要点は3つあります。ひとつめは、理論を先に立ててから測ることです。ふたつめは、休憩を集計に使って、受けてから結果を見るまでを同じ日に閉じることです。診断と結果のあいだに一週間が空くと、受けた本人の関心が切れます。
みっつめがいちばん大事で、測る前に必ず宣言することが3つあります。タイプに優劣はないこと、1人で全部を担う必要はないこと、そして役割はあとから変わることです。これを先に言わないと、参加者は人事評価を疑いながら答えます。疑いながら答えると、そのあとの対話で誰も自分の話をしなくなります。
いちばん効くのは、誰もいないセルを見せる瞬間
結果を全員で見る時間でいちばん場が動くのは、平均点でも順位でもなく、役割とタイプのマトリクスに空いているセルが見えたときです。私たちはこれを空白ゾーンと呼んでいます。
ただし、母数が小さいと、空白は偶然でも出ます。7人しかいない部署で、ある型が0人だったとしても、その型が組織にいない証明にはなりません。だから空白は、次に確かめる場所として扱います。ここで言い切ってしまうと、その場で採用の話が始まります。
その場で必ず出る4つの質問
進行役をやると、毎回ほぼ同じ質問が出ます。答え方を用意しておかないと、ここで場が止まります。私たちの答えをそのまま書きます。
| 出る質問 | 答え方 |
|---|---|
| これは人事評価に使われますか | 使えません。いまAIという道具に対してどの役割を演じているかを示すもので、能力や優劣を測るものではありません。個人が特定できない集団の指標として使います |
| 自分の結果に納得できません | 型はあとから変わります。いまの関わり方を写したものです |
| 開拓者型がいない組織はどうすれば | 自社で発明する必要はありません。外部の事例を持ち込む役を1人決めるほうが近道です |
| 批評家型は無視していいですか | 粗が見える人です。「このやり方の欠点を見つけてください」と検証を頼むと、いちばん頼れる役になります |
4つとも、事前に用意していないと答えに詰まります。とくに1つ目で答えを濁すと、その瞬間に場の空気が変わります。
配ったきりの結果を、並べ直す
すでに社内調査を終えていて、結果を配ったきりになっているなら、やることは1つです。その結果を持ってきて、役割ごとに誰がいるかを1枚に並べ直してください。新しいアンケートは要りません。並べてみて空いているところがあれば、そこが最初に埋める席です。
これから調査をやるなら、集計のあとに30分だけ、結果を全員で見る時間を取ってください。配る前に見る場を作るかどうかで、同じ調査から取れるものがかなり変わります。
私たちの診断は24問で、所要は約4分が目安、無料で登録も要りません。ただ、受けること自体はこの話の半分でしかありません。15タイプの一覧を横に置いて、自分のチームの席がどれだけ埋まっているかを数えるところまでやって、ようやく調査が仕事になります。
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