RELACTIS ブログ組織への広げ方読了 約4分

AI活用が後回しになるのは、怠慢ではありません

「落ち着いたらちゃんと考えます」。そう言ったまま、半年が過ぎていませんか。落ち着く日は来ないので、待ち方を変える必要があります。

AI活用の旗を振る側から見ると、いちばん動きが鈍く見えるのは中間の層です。方針は伝わっていますし、ツールも配られています。それでも部署の中では何も始まりません。何度目かの催促のあとに返ってくるのが「落ち着いたら、ちゃんと考えます」です。

この返事は、その人が置かれている場所を正確に言い表しています。ただ、この言い方をしているかぎり、いつまでも始まりません。

いま自分がその立場にいる人にも、その人を動かしたい側にも読めるように書きます。診断の話は最後に少しだけ出てきます。先に構造の話をします。

いちばん負荷が集まる場所に、追加で載っている

管理職の一日を分解すると、上と下から別々の要求が来ています。経営からは変革を進めてほしいと言われ、現場からは今の業務だけで手一杯だと言われます。そのうえに、日々の数字、納期、人のこと、突発のトラブル、終わらない会議、部門間の調整が乗っています。

そこに「AI活用も進めてください」が足されると、放っておけば必ず後回しになります。通せる量を超えているだけです。ここを「意識が低い」と読むと、打ち手は精神論しか残りません。

後回しは、配置が作っています。もう手一杯の場所に、さらに載せても動きません。まず何かを降ろすのが先です。

斧を研ぐ時間がない、という状態

木を切っている人に「斧を研いだほうが速く切れますよ」と声をかけると、「切るのに忙しくてそんな暇はない」と返ってきます。古くからある話です。AI活用の位置づけは、いまだいたいこの斧です。研げば速くなると分かっていても、研ぐ手を止められません。

ここで、認識をひとつ入れ替える必要があります。忙しいからAI活用に取り組めないのではなく、余裕をつくるためにAI活用に取り組むのです。順番が逆なんですね。その捉え方でいるかぎり、取りかかる条件は永遠に整いません。

実際、生成AIがいちばん効くのは、大きな定型業務よりも、現場に点在している小さな困りごとのほうです。量は少ないのに個別対応が多くて、手順書にも自動化にも乗らなかった仕事です。文章を読んで要約したり、過去の似た事例を引っぱってきたりする作業は、これまで手つかずで残っていました。斧を研ぐ最初の一手は、たいていこの規模から始まります。

余白は、できるのを待つものではない

「落ち着いたら考えよう」の落ち着く日は来ません。来ないものとして組み立てるしかありません。

管理職に求められる決断でいちばん大きいのは、余白がない中で何をやめ、何を先に進めるかを決めることです。ここで判断を保留すると、AI活用は「重要だけれど緊急ではないもの」の棚に移り、静かに後ろへ流れていきます。

そして、保留は中立ではありません。「今期は見送り」というひと言は、現場には「やらない」とほぼ同じ意味で届きます。本人は決めていないつもりでも、現場は、変えないと決めたのだと受け取ります。この受け取られ方については、会議のひと言がAI活用を止める仕組みに詳しく書きました。

4つに分けると、全部を自分で背負わなくてよくなる

とはいえ、「決めろ」と言われただけでは、何を決めればいいのかが分かりません。管理職の役割を4つに分けると、扱いやすくなります。

  • 「決める」優先するものと、やめるものをはっきりさせます。保留を減らします。ここだけは他の人に渡せません
  • 「空ける」試す時間を確保して、小さく始める範囲を決めます。「2週間、この業務だけ」まで絞ります
  • 「つなぐ」経営の方針を現場の言葉に翻訳し、現場の困りごとを上へ引き上げます。部門をまたぐ調整も引き受けます
  • 「守る」最初の成果が出るまで支えます。試した人を孤立させず、うまくいかなかったときに本人のせいにしません

この4つのうち、本当に管理職本人でなければできないのは「決める」と「守る」です。「空ける」と「つなぐ」は、部署の中の誰かに渡せます。全部を自分で抱えたまま「時間がない」と言う状態から抜けるには、渡せるものを実際に渡すのが先です。

誰に渡すかは、勘で決めないほうが早い

では、誰に渡せばいいのでしょうか。たいていは、いちばん詳しそうな人か、いちばん手が空いていそうな人に渡してしまいます。どちらも外れやすい選び方です。

「空ける」を渡す相手は、予算や時間、権限を実際に動かせる人です。試す人が動ける状態を作れるかどうかで選びます。

「つなぐ」のうち、一度うまくいったやり方を他の人も使える形に落とす仕事には、別の人が向いています。

私たちが作っているAI活用タイプ診断は、24問・7因子・15タイプで、この「誰にどれを渡すか」を決めるためのものです。かかる時間は約4分が目安で、無料、登録も要りません。チームの何人かに受けてもらうと、どの役が埋まっていて、どの役が空いているかが並んで見えます。空いている役が分かれば、次に頼む相手が決まります。

診断が教えてくれるのは向き不向きの形までで、その人が何に動かされているかまでは当てません。そこは本人に聞くほうが速いです。24問の選択肢に人を押し込まないのは、設計上の判断でもあります。

今日のうちに、1つ決める

大きな計画はいりません。今日のうちに、次のどれかを1つだけ決めてください。

  • 自分の業務の中から、AIに一度だけ試しに投げてみるものを1つ選ぶ
  • 何年も続けている面倒な定例作業を1つだけ見直す
  • 慣習で続いている会議か資料を1つだけ「やめる」と決める
  • 「空ける」役を、部署の誰かに1つ渡す

変革を動かすのは、着手の早さです。「いつかやる」を「今日ひとつだけやってみる」に切り替えられるかどうかで決まります。後回しは怠慢ではありません。ただ、後回しのままにしておくと決めているのは、あなたです。動かすと決められるのも、あなたです。

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