同じ調査結果を、3通りに書き分ける
分布を1枚にまとめて全員に配ると、既読はつくのに何も起きません。同じ数字から動ける行動が、立場によって違うからです。

社内調査をやったあと、結果をまとめて共有します。分布のグラフ、所見、ひとこと総括。きれいな1枚ができて、全員に送ります。既読はつきます。そして、何も起きません。
この記事は、社内でAI活用を進める立場の人に向けて書いています。同時に、そういう共有を受け取る側にいて、読んだあと何をすればいいのか分からなかった人にも向いています。前提は、受け取る側が悪いのではないというところからです。
同じ1行から、動ける行動が3つに割れます
たとえば「確かめる役が社内にほとんどいない」という結果が出たとします。事実は1つです。ところが、この1行から動ける人は3層に分かれていて、やることが全部違います。
経営層がやれるのは、その役に人と時間を割り当てる判断です。管理職がやれるのは、自分のチームの誰にその役を頼むかを決めることです。現場がやれるのは、自分が確かめる側に回るか、確かめてほしい相手を名指しすることです。
1枚を全員に配ると、この3つが混ざったまま届きます。そして全員が、自分ではない誰かの仕事として読みます。経営層は「現場でやってくれるだろう」、管理職は「方針が出てから」、現場は「上が決めること」。悪意はどこにもありません。宛先が書かれていないだけです。
だから、レポートを3通りに分けています
私たちが法人に納品している組織レポートは、この理由で経営層・管理職・現場の3つの宛先に向けて、別々のメッセージを書いています。元になっている数字は同じです。読んだ人が明日できることが違うので、文章を分けています。
分けてみると分かるのですが、同じ結論から3つの違う行動が出てこない場合、それはそもそも行動につながらない結論です。書き分けようとする作業自体が、所見の質を検査する工程になります。
「やってください」は、予定に入りません
もう1つ、実際の納品物でやっていることがあります。90日でやる施策に、担当する役割と、かかる時間を書いています。
ある回では、こういう形になりました。ひとつは先行実践者型に15分。ひとつは仕組み化型に週2時間。ひとつはスポンサー型に月4時間。数字は設計上の割り当てで、実測の記録ではありません。それでも、書いてあることに意味があります。
「AI活用を推進してください」は、誰の予定表にも入りません。時間が書いていないので、いつやるのかが決まらないからです。15分と書いてあるものは、今日の予定に入ります。週2時間と書いてあるものは、上司に相談する材料になります。月4時間と書いてあるものは、経営会議の議題になります。
時間を書くと、頼まれた側は断ることもできます。これは弱点ではなく、必要な機能です。断られたなら、その施策は今の負荷では無理だと分かります。返事が来ないまま3ヶ月が過ぎるより早いです。
誰に何を頼むかは、役職では決まりません
宛先を3つに分けても、「管理職向け」の中で誰に何を頼むかは、まだ決まっていません。ここを役職で埋めると、たいてい外れます。
RELACTISは、そこを見るための診断です。24問・約4分で、7つの因子(創出・横断・自走・伝播・仕組み化・検証・関与)と15タイプのどれに近いかが出ます。無料で、登録も要りません。自分の型を知るためにも使えますし、組織で回すと役割ごとの分布が出ます。
上に挙げた3つの時間の割り当ては、それぞれこういう席に向いています。診断が出すのは候補までで、最後に誰へ頼むかは頼む人が決めます。
明日、ひとつだけ
直近で共有した調査結果を1つ選んで、宛先を3つに分けて1行ずつ書いてみてください。経営層に1行、管理職に1行、現場に1行。それぞれ「明日できること」で書きます。
3つとも同じ1行になったら、書き分けに失敗したのではありません。その結論が、まだ行動につながっていないということです。それが分かるだけでも、配り直す価値があります。
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