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チームのAI活用を1枚の分布図で見る方法

「今月のライセンス利用率は46%」。その数字は、残りの54%がなぜ使っていないのかも、次に何をすればいいのかも教えてくれません。分布図なら教えてくれます。

多くの会社は、AI活用をソフトウェア導入と同じ物差しで測っています。配ったライセンス数、アクティブ率、一人あたりのプロンプト数、そして右肩上がりの折れ線。役員会の資料にはきれいに収まりますよね。ただ、この指標には弱点があります。ギャップの大きさは分かるのに、ギャップの形が分からないのです。

利用率46%の部署が2つあったとして、中身はまったく違うことがあります。片方では、使っている半分が本当に新しい使い方を見つけているのに、それが個人のPCの中で終わっていて、使っていない半分は「実際にうまくいった例」を見せてくれる人を待っている。もう片方では、半分が社内ルールより先に使っていて、使っていない側に「間違いに気づける人」が全員固まっている。同じ46%なのに、課題も打ち手も正反対なんですね。

チームのAI分布図というのは、利用量を数えるのをやめて、一人ひとりがAIとどう向き合っているかを並べ、集団としての散らばりを見たものです。自分の部署はどちらなのか、読み終えるころには見当が付くはずです。

何を並べているのか

土台にあるのは尺度ではなく類型です。「AIが下手から上手まで」の一直線に並べるのをやめて、創出・横断・自走・伝播・仕組み化・検証・関与の7因子を測り、15タイプに分けます。全員が主タイプと第2・第3の顔を持っていて、その結果を重ねたものがチームの分布図になります。

集団で見ると、いくつかの塊が浮かび上がります。創る人たちは、誰にも頼まれていない使い方を見つけ、ツールを組み合わせ、あるいはひとつの用途をとことん深く掘ります。固める人は、他人の工夫を全社で回せるテンプレートに変えます。広める人たちは、機能を「あなたの仕事ではこう使えます」に翻訳し、どの道具がどの課題に効くかを目利きし、あるいは予算と時間を用意します。回す人たちは、自分で調べ、教われば身につけ、あるいは「誰に頼めばいいか」を正確に知っています。守る人は、世に出る前に「根拠は?」と聞きます。そして探るグループ、つまりルールより先に使っている人と、「便利そうですね」と言って開かない人は、たいていダッシュボードがいちばん理解できていない2グループです。

この図に「良い場所」はありません。これは設計上そうしていて、データが使い物になる理由でもあります。負ける答えが存在しない図だからこそ、推進の成否を実際に握っている懐疑派や未使用者から、正直な回答が返ってきます。

読むべきは「山」より「へこみ」

分布が出てきたとき、まず高い棒に目が行きますよね。でも、面白い情報はそこにはあまりありません。平らなところにあります。

創る人はいるが、固める人がいない。意欲的なチームでいちばんよく見る形です。毎週のように賢い使い方が生まれるのに、そのどれもが翌四半期まで残りません。再現できる形に変える人がいないからです。会社は、同じ発見のコストを何度も払い続けます。ここで必要なのは実験を増やすことより、「まずテンプレにしておきますね」と言う人が一人いることです。

検証する人がどこにもいない。「根拠は?」と最初に聞く人がいないチームは、速いチームというより、まだ最初の大きなミスに当たっていないチームです。このへこみが見えたときに効くのは、規程を文書にすることより、その素質を持つ人を見つけて役割として明示することです。それがいちばん厳しい懐疑派を品質担当に変えるという話の全部です。

1〜2人に全部が集中している。利用率では絶対に見えない属人リスクが、分布図では一目で分かります。部署のAI能力が2人の「創る人」に乗っているなら、人事異動ひとつで静かに消えます。

静かな塊が大きい。ダッシュボードはこれを無関心と読んで、圧力を処方します。そしてほぼ確実に逆効果になります。分布図のほうは、これを「製品の約束ではなく、人からの証拠を待っている集団」と読みます。処方はまったく別のもので、たいていは同僚が5分だけ本人の実務の隣に座ることです。

ルール先行の利用。社内規程より先に使っている人が、一件ずつの事案としてばらばらに上がってくるかわりに、何人ぶんの塊として見えてきます。これは会話を、取り締まりから「実態にルールを追いつかせる」方向へ変えてくれます。

分布図があると何が変わるか

実務での価値は、割り当てが勘でなくなることです。次のツールの試験導入は誰に任せるか。役職がいちばん上の人に頼むのをやめて、見つけるのが資質の人に頼めます。社内プレイブックは誰が持つか。固める人ですが、そもそも自社にその人がいるかどうかも分布図が教えてくれます。研修は誰が回すか。他人の仕事の言葉に翻訳できる人で、最上級ユーザーとは限りません。品質のゲートは誰が持つか。検証する人です。そして、ルールさえ明確になれば動ける人は誰か。ここまで決まると、会議の中身が変わりますよね。

自分たちの数字の読み方も変わります。利用率46%でも、創る人・固める人・検証する人がバランスよくいる部署は、利用率70%で熱意だけあって品質の層がない部署より、はるかに健全です。分布のほうが診断で、利用率は症状にすぎないと私は考えています。

データを壊さずに実施するには

ツールより大事な条件が3つあります。ひとつめは評価ではなく類型として実施することです。結果が自分の評価に使われるかもしれないと思われた瞬間、人は「求められていそうな答え」を返してきますし、分布図はいちばん見たかった層についてこそ役に立たなくなります。ふたつめは用途を明示すること。「この結果は人事評価には使いません」と一文添えるだけで、未使用者の答え方が変わります。形式的な断り書きに見えて、ここがいちばん効きます。みっつめは使っていない人こそ全員含めること。手を挙げた人だけで作った図は、すでに知っている推進者の図にしかなりません。

そのうえで、最後まで答えてもらえる軽さに保つこと。私たちの診断が24問・約4分なのには意図があります。分布図の価値は回答率で決まりますし、長いアンケートを最後まで答えない人こそ、抜けると分布が歪む人だからです。

そして、1回で終わらせず年に数回まわすこと。1枚の図は今の形を教えてくれますが、2枚あれば打ち手が実際に効いたかが分かります。タイプ間の移動、たとえば静かな未使用者が習得者になる、批評家が検証者になるといった動きは、利用率の折れ線が少し上を向くことより、はるかに意味のある前進だと思いませんか。

まず自分の1マスから

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