AIを使える人を増やす前に、いまいる人の組み合わせを見直す
「うちにはAIに詳しい人がいない」。AI活用が止まった理由として、いちばんよく聞く説明です。ただ、止まっている場所を見に行くと、詳しい人はいたのに止まっている、ということがよくあります。

社内でAI活用を進める役を任された人は、たいてい最後は人の話にたどり着きます。誰に任せればいいのか、あの人はなぜ動かないのか。その前に、ひとつやってみてほしいことがあります。
いま進めているAIの取り組みを1つ選んで、関わっている人の顔を思い浮かべながら、次の4つに名前を入れてみてください。
- 新しい使い方を見つけてくるのは誰か
- それを他の人でも使える形に直すのは誰か
- 毎日それを回すのは誰か
- 外に出す前に「根拠は?」と聞くのは誰か
空欄が1つでもあれば、その取り組みはたぶんそこで止まります。逆に4つ全部に同じ名前が入っていたら、その人が休んだ日に止まります。
RELACTISは、この4つの欄に誰がいるかを見るための道具です。24問に答えると、AIとの関わり方の癖が15タイプのどれかで返ってきます。足りない人を探すためではなく、いまいる人をどう並べ替えればいちばん進むかを出すために作りました。採用も増員もしないまま、同じ顔ぶれの並べ方を変えるところから始めます。
一人の弱点は、隣の人が受け止めている
たとえば1つ目の欄、新しい使い方を見つけてくる人。診断では開拓者型と呼んでいます。便利なプロンプトを見つけてくるのは得意ですが、それが本人の頭の中や作業フォルダで終わりがちです。自分だけで使い続けていれば、チームにとっては存在しないのと同じになります。
これを本人の努力で直そうとしても、あまりうまくいきません。診断結果の「次の一歩」に書いてあるのは、隣に仕組み化型を置くことです。2つ目の欄、他の人でも使える形に直す人です。
ただし仕組み化型にも弱点があります。整備すること自体が目的になって、使われないマニュアルを作り込んでしまう。だから作る前に、3つ目の欄、毎日回す人(利用者型)の誰が使うのかを決める。その利用者型は、手順の外で起きた例外に弱い。だから「ここが使いにくい」と仕組み化型に返す。
3人を1人ずつ見れば、弱点が3つ並んでいます。3人まとめて見ると、それぞれの弱点を隣の人が受け止める形になっています。誰ひとり直っていないのに、止まる場所だけが消えるわけです。
「詳しい人を集める」では埋まらない
だから、これは詳しさの話ではありません。開拓者型を3人集めれば発明は増えますが、閉じた作業フォルダも3つに増えます。
全社一律の研修から始めないのも、同じ理由です。全員に同じ内容を配ると、全員の得意が同じ方向に少しずつ伸びます。ところが組織が止まる原因は、平均が低いことより、4つの欄のどれかを誰も担っていないことのほうにあります。
診断のチーム画面は、個人の点数を足しても出てこない警告を出すようにしています。ある欄を1人しか担っていない。成果を外に出す人が誰もいない。逆に、全員が似すぎている。結果を1枚ずつ眺めているかぎり、どれも見えません。
同じ顔ぶれでも、目的が変われば点数が変わる
チーム画面では、合計点を1つ出して終わりにしません。目的に合っているか、いまの段階を進める力があるか、組み合わせの相性、想定外への耐性、の4つに分けて出します。合計点だけ見ても、次の手が決まらないからです。
このうち「目的に合っているか」は、目的を入れないと計算できません。新規事業を立ち上げるなら、見つけてくる人と広める人が厚いチームを高く評価します。品質と信頼性を上げるなら、「根拠は?」と聞く人がいるかどうかをいちばん重く見ます。同じ顔ぶれが、目的が変わるだけで別の点数になります。
「優秀な人を集める」が答えにならないのは、そのためです。優秀さは、目的の外側では定義できません。
正解を1つに絞らない
組織レポートには、目的と人数を指定すると、編成案が3つ載ります。3つとも同じ主力を並べただけなら見比べる意味がないので、前の案に入った人が重なる案は、わざと順位を下げています。
3案は優劣の順位というより、選択肢の幅です。どれを採るかを製品は決めません。見比べると、本当に外せない人と、実は別の人でも回る役割が分かれてきます。そこが読みどころです。匿名で受けた組織では案も匿名のままで、誰と誰を組ませてください、という名指しは出しません。
最後に残った空欄をどうするか
3案を作っても、どの案にも入らない役割が残ることがあります。これを空白ゾーンと呼んでいますが、最初に探しに行くものではなく、組み合わせを出した結果として最後に残るものです。
残ったとしても、すぐ採用の話にはしません。7人しかいない部署である型が0人でも、その型が組織にいない証明にはなりません。母数が小さければ、0人はばらつきでも起こります。空白が出たら、次に確かめる場所として扱います。
そもそも、空欄を埋めるために採用が必要になることは、思ったより多くありません。すでにいる誰かの役割を、口に出して決めるだけで埋まる欄がかなりあります。「このテンプレ化はあなたにお願いします」と言われていない人は、頼まれていないことをやらないだけです。
24問・約4分の無料診断は、最初の4つの欄で自分がどこに立っているかを出すところから始まります。チームで受ければ、欄ごとに誰がいるかが見えます。私たちが作りたいのは、足りない人のリストではなく、いまいる人で組める形のほうです。
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