「ちゃんとしたAI診断」と、ただのAI性格クイズの違い
「AI診断」で検索すると、生成AIで数分で作られた遊びのクイズがずらりと出てきます。では「測っている」と言える診断は、どこが違うのか。受ける前に自分で確かめられる条件が4つあります。

「AI診断」で検索してみてください。あなたを動物にたとえるもの、前世を教えてくれるもの、10秒で終わる相性チェック。生成AIのおかげで、この手のクイズは誰でも数分で作れるようになりました。よくできたものも多くて、私も普通に楽しんでいます。
遊びの診断は、それでいいと思っています。もともと何かを測るために作られていませんし、結果が当たっていなくても誰も困りません。飲み会で見せ合って盛り上がれば、それで役目は果たしています。
ただ、その言葉で検索する人の中には、別のものを探している人もいます。AIが作ったクイズではなく、AIに向き合うときの自分のほうを知りたい人です。まず触ってみるのか、様子を見るのか。出てきた答えを信じるのか、確かめるのか。見つけた使い方を人に教えるのか、自分のメモに残しておくのか。社内でAI活用を進める立場なら、これを部署の全員ぶん知りたくなりますよね。次のツールの試験導入を誰に任せるか、品質を誰に見てもらうかが、そこで決まるからです。
そういう診断も、ちゃんとあります。ただ作り方がまったく違っていて、その作りが真面目かどうかは、受ける前に外から見分けられます。
「言い当てられた」と「測れている」は別のこと
性格クイズの多くは、生成AI製でも手作りでも、回答と結果を雰囲気でつないでいます。海の写真を選んだ人は冒険家タイプ。その対応づけは、作った人がそう決めた、ということです。測定というより、物語を配っているんですね。遊びなら何の問題もありません。気になるのは、それが自己理解の道具として売られているときだけです。
「診断」を名乗るなら、満たしていてほしい条件が4つあります。どれも専門知識は要りませんし、受ける前に自分で確かめられます。
- 何を測るかが、設問より先に決まっている。真面目な診断は、設問を書く前にモデルを作ります。「この領域の行動は、こういう軸で人によって違いが出るはずだ」という仮説を先に立てて、設問はその軸の点数を動かすためだけに用意します。だから、何を測っているか説明できない診断は、結果を振り分けているだけになります。「この診断の軸は何ですか」と聞いてみて、答えが返ってこないなら、それは測定というより読み物として作られたものだと考えていいと思います。
- 逆転項目が混ざっている。いちばん手早い見分け方です。素朴に作られたクイズでは、全部に元気よく「そう思う」と答えた人が、いちばん褒められる結果にたどり着きます。真面目な尺度には、同意すると点数が下がる設問が混ぜてあります。これがあると、深く読まずに惰性で答えている状態や、感じのいい文につい頷いてしまう傾向を拾えます。設問が全部同じ向きに並んでいると、その人の行動より、同意しやすさのほうを拾ってしまいがちです。
- 結果が行動で書いてあって、外れることがある。「あなたは創造的だが、ときに自分を疑ってしまう」。これは読んだ人ほぼ全員に当てはまります。誰にでも当てはまる書き方で、外れないように作られた文なんですね。真面目な結果は、その人が実際にやっていることを書きます。「AIの答えを人に渡す前に、出典を確かめる」「一度組んだ手順を、何ヶ月も見直さずに回し続ける」。自分を知っている同僚が読んで「いや、それは全然違うよ」と言える文かどうか。言える文だからこそ、言われなかったときに情報として意味を持ちます。
- 受け直すことに意味がある。遊びの診断は一回で完結します。二回受けても、つながりのない結果が二つ出るだけですよね。AIとの付き合い方は、いまの仕事の中でいちばん変化の速い部分です。それを測るなら、何度も受ける前提で作ってあって、同じ設問が数ヶ月後の変化を拾えなければ意味がありません。
この4つで、自分の診断を採点してみる
ここから先は、自分の答案を公開する話になります。このブログを載せているRELACTISのAI活用タイプ診断は、いま挙げた4つに合わせて設計しました。宣伝ぬきで、設計の説明として読んでください。同じ物差しは他の診断に当ててもらって構いませんし、この診断にも遠慮なく当ててください。
設問は全部で24問、結果に出る因子は7つです。創出(新しい使い方を思いつくか)、横断(ツールや分野をつなぐか)、自走(自分で調べて覚えるか)、伝播(人に教えるか)、仕組み化(一度の成功を誰でも回せる形にするか)、検証(信じる前に確かめるか)、関与(そもそもどのくらい触れているか)。設問はそれぞれ、この7因子のどれかに紐づくか、立場や使っている経路、場面ごとの選び方といった、タイプ判定に直接効く条件に紐づいています。どこにもつながらない設問は入れていません。
逆転項目も実際に入っています。同意すると点数が下がる設問が、24問のあいだに混ぜてあります。どれがそれなのかは書きません。書いた時点で、その設問は逆転項目として働かなくなるからです。受けていただければ、全部にうなずいた人がそのまま上級者に格上げされる作りではないことは分かると思います。
7因子の出方と、立場や使い方をたずねた答えを合わせて、15タイプのどれかに落とします。ただし、いつでも型を返すわけではありません。結果がはっきり出ないときは「判定保留」を返し、読み方の案内だけをお渡しします。当てはまらない人を無理に当てはめるくらいなら、保留のほうが正直だと私たちは考えています。
タイプの説明文は、褒め言葉ではなく行動の描写で書いてあります。だから外れます。
違っていれば、読んだ瞬間に分かりますよね。それでいいんです。言い返せる結果だからこそ、言い返さなかったときに情報になります。
静かな未使用者は「便利そうですね」と本心から言って、それでも開きません。本人に敵意はなくて、単に接点がないだけです。先行実践者型は逆で、会社の環境が整うより先に、自分の工夫でもう使っています。使わない人と、制度の先を行く人の居場所がない分類は、実際の職場を写せていないと私は思います。似た観察は調査の側からも出ていて、SlackのWorkforce Labが職場のAIペルソナを5つに整理したのもその一例です。人によって違うのは、うまさの度合いより先に、向き合い方の種類だという見方。これがいろいろな場所から繰り返し出てきています。
そして、人が動くことも設計に入れました。タイプごとに、伸びた先の隣のタイプを書いてあります。習得者型の人が、教わる前に自分で調べにいくようになれば独学実践者型の方向へ。批評家型の人が、粗を見抜く目を実際の出力に向けはじめれば、検証者型まではあと一歩です。同じ鋭さを、切り捨てに使うか検証に使うかという違いだけですね。行動が変わったあとに受け直せば、7因子の点数も、立場や使い方の答えも、その移動を拾うようにしてあります。毎回ちがう結果が出るだけの診断では、変化は見えません。
ひとつ添えておくと、言い返せる診断は、何人かで受けたときの会話が変わります。「検証者型なの、わかる。先週わたしの資料の数字、拾ってくれたし」。前世の結果を見せ合ったときとは、話す中身がだいぶ違ってきます。理由は単純で、その人が実際にやっていることの話をしているからだと思います。
で、「ちゃんとしたAI診断」はあるのか
あります。ただし、正直な但し書きが付きます。24問の自己申告で人ひとりを丸ごと捉えることはできませんし、できると言い切る診断があれば、それは言いすぎです。よくできた診断が渡せるのは、根拠のはっきりした一枚のスナップショットまでです。名前のついた因子、全部に同意したくなる気持ちを差し引いた点数、自分で反論できる行動の記述、そして次に測り直すときの基準点。ここで言う「ちゃんとした」の意味は単純で、受けた本人が「それは違う」と言い返せる形になっている、ということです。本質を言い当てる鏡のようなものを期待されると、正直、荷が重すぎます。
それでも本当に知りたかったのが「自分を動物にたとえると何か」のほうなら、迷わずそちらを受けてください。楽しむために作られたものは、楽しめたら成功です。ここに書いた4つの条件は、診断の結果をもとに何かを決めたくなったときにだけ、思い出してもらえれば十分です。
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