AI活用タイプ診断の7因子は、結局なにを測っているのか
点数ではなく、あなたがどちらに傾いているかを測る診断です。その傾きが7つあるので、ひとつずつ説明します。

「AI診断」と聞くと、たいていは100点満点のテストを想像しますよね。自分は72点くらいかな、プロンプトが得意なあの人よりは少し下かな、という感じで。
でも、その見方だと大事なところが抜け落ちます。100点満点で考えるということは、全員が同じ道を歩いていて、違うのは進んだ距離だけ、と考えていることになるからです。私たちは、この前提が違うと思っています。
職場の人を何人か思い浮かべてみてください。頼まれてもいないのに新しい使い方をどんどん見つけるのに、それを誰にも共有しない人、いませんか。自分ではAIを使わないのに、人が持ってきた資料のあやしい数字にはすぐ気づく人。ツールを三つつないだ仕組みを作って、黙って使っている人。
この三人を「AIが上手い順」に並べてくださいと言われても、たぶん並べられません。上手い下手の話ではないからです。海外でも同じような整理は出てきていて、Slackの調査チームは職場のAI利用者を5つのタイプに分けています。
そこでRELACTISでは、点数ではなく7つの因子を測ることにしました。創出・横断・自走・伝播・仕組み化・検証・関与の7つです。どの因子にも、高く出たときの意味と、低く出たときの意味があります。
この記事では、その7つがそれぞれ何を見ているのかを、ひとつずつ説明します。社内でAI活用を進める立場の方なら、チームの誰に何を任せるかを考える材料になるはずです。診断そのものが好きで読みに来た方は、自分がどこに傾いているかを確かめながら読んでみてください。どちらの読み方でも、最後には15タイプのうちどれに近いかが見えてきます。
創出
創出は、まだ誰も試していない使い方を試したくなるかどうかです。高い人は、頼まれてもいないのに「これ、こういう使い方できないかな」と言って、説明書に載っていないことを勝手に試します。失敗しても、まあ勉強になったか、で終わる。新しい使い方は、だいたいこういう人から出てきます(開拓者型)。
低い人は、うまくいくと分かっているやり方を確実に回すのが得意です。試作品を「毎回ちゃんと同じ結果が出る」ところまで持っていくのは、思いつくのとはまったく別の仕事ですよね。ここをやる人がいない会社は、アイデアだけが増えて何も残りません。
横断
横断は、広く見るか、狭く深く見るかです。高い人は、誰も組み合わせようとしなかったツールをつないだり、製品と製品のすきまに気づいたりします。口ぐせはたぶん「これとこれ、つなげたら面白くないですか?」(編集者型)。
低い人は、ひとつのことを深く掘ります。ひとつの使い方を誰よりも先まで突き詰める職人型がいるかどうかで、そのチームの仕事の質が決まります。広く見る人が「何ができるか」を見つけて、深く掘る人が「どこまで良くできるか」を決める。どちらか片方では足りません。
自走
自走は、新しいものを自分で覚えるか、人から教わるかです。高い人は、説明書を読んで、設定をいじって、ひとりで使えるようになります。研修の日程が決まる前には、もう業務で使っています(独学実践者型)。低い人は、人から教わって覚えます。一度見せてもらえばそのとおりに再現できますし、詳しい人を探したほうが早いと考えます(習得者型)。
ここははっきり書いておきたいのですが、私は習得者型が過小評価されすぎだと思います。研修が成り立つのは、教われば身につく人がいるからです。逆に、独学で覚えた人は「どうやって覚えたんですか」と聞かれても答えられないことが多い。人に渡せない技術は、会社から見ると半分しかないのと同じです。
伝播
伝播は、自分が見つけたことを人に渡すかどうかです。高い人は翻訳が上手です。「◯◯さんの仕事だと、ここで使えますよ」と、相手の困りごとに合わせて渡す。自分だけが便利になっている状態を、なんとなく気持ち悪いと感じます(伝道師型)。低い人は、黙って自分で練習します。腕は黙って練習しているうちに上がるので、伝播が低いことと実力は関係ありません。
社内でいちばんAIを使いこなしているのが、いちばん何も言わない人だった。そんな職場、ありませんか。それが伝播の低いほうです。
仕組み化
仕組み化は、うまくいったやり方を、誰でも同じようにできる形にするかどうかです。テンプレート、チェックリスト、勝手に動いている小さな仕組み。「それ、テンプレにしておきました」と言って、本当に作ってある人がここに来ます(仕組み化型)。
私は、これをやる人が会社の中でいちばん少ないと思っています。作った人が異動したら、その工夫も一緒に消えてしまう。よくありますよね。あれは、ここが薄いから起きます。
低い人は、その場で考えます。毎回ゼロから、その日の事情に合わせて組み立てる。どんな仕組みもいつかは想定外にぶつかりますが、そこで止まらないのは、もともと決まった型を使っていない人です。
検証
検証は、「それ、根拠あるんですか」と反射的に聞いてしまうかどうかです。高い人は、AIの出力を下書きとして読みます。役には立つけれど、まだ本当かどうかは分からない、という読み方ですね。それっぽい文章がいくらでも作れる時代なので、この習慣の価値はこれから上がります(検証者型)。
低い人は、とにかく速い。下書きのまま先に進めますし、じっくり100点より早く80点のほうが役に立つ場面をよく知っています。全員が全部を確認していたら何も間に合いませんが、誰も確認しなければ、間違いのほうが先に外へ出ます。7つのうち、どちらか片方に寄せると成り立たなくなるのは、この因子だけだと思います。
関与
関与は単純で、自分の仕事のどのくらいにAIが入り込んでいるかです。高い人はもう毎日の段取りに組み込んでいて、モデルの挙動が変わると数時間で気づきます。
この因子は「低くても大丈夫ですよ」と言うと、いちばん驚かれます。使っていないこと自体が情報だからです。静かな未使用者の「便利そうですね」は、まだ一歩目を踏み出していないだけ、ということが多い。職場ではたぶんいちばん人数が多くて、いちばん声が小さい人たちです。批評家型が粗を見つける目は本物です。離れたところから見ているというのも、ひとつの立ち位置なんですね。
ただ、その目の精度は、実際に触った量に比例します。見ているだけだと、そのうち勘が鈍ります。
それでも、使っていない人を0点として扱う診断は、いちばん知りたい相手のことが何も分かりません。だから7つ目に、これを置いています。
7つの組み合わせが、15タイプになる
ここまで読んで、7つ全部を高くしたいと思った方もいるかもしれません。ただ、この診断は合計点という考え方をしていません。7つは別々の設問から独立に出てくる値で、足し算をしても意味のある数字にならないからです。
最後に残るのは合計点ではなく、どこが高くてどこが低いかという組み合わせのほうです。
15タイプは、その組み合わせに名前をつけたものです。診断では、7因子の出方に、役割や実際の使い方をたずねる設問を足してタイプを決めています。創出が高くて仕組み化が低ければ開拓者型に近くなります。思いつく速さに記録が追いつかない人です。仕組み化のほうが高ければ仕組み化型で、人の工夫を会社の資産に変える側にまわります。検証が高くて関与が低ければ、批評家型に近くなります。結果ページでタイプ名と一緒に7因子のグラフを出しているのは、タイプ名だけだと見出しにしかならないからです。
この診断でやりたいのは、順位をつけることではなく、名前をつけることです。自分がどちらに傾いているかに名前がつくと、直すべき欠点に見えていたものが、使える持ち味に変わります。よかったら、ご自身の7つを見てみてください。
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