RELACTIS ブログタイプ図鑑読了 約6分

あなたの職場のAIの使い方、図鑑にしてみた

同じツール、同じルール、同じログイン。それなのに、AIとの付き合い方は人によってこれほど違います。オフィスで見かける七つの姿をスケッチしてみました。

AIの話をしていると、いつのまにかツールの話ばかりになりますよね。どのモデルが速いとか、あの機能がどうとか。でも一週間ほど意識して周りを眺めてみると、面白いのは道具より人のほうだと気づきます。業務のすみずみにAIを組み込んでいる人がいる。出力の裏を一行ずつ取りにいく人がいる。導入説明会でにこやかに頷いて、それきり一度も開いていない人がいる。

この差は、たぶんスキルよりも関係の結び方の差です。そしてその結び方は、驚くほどはっきり分かれます。RELACTISではこれを15タイプと7因子(創出・横断・自走・伝播・仕組み化・検証・関与)として整理していますし、SlackのWorkforce Labも職場のAIペルソナを大きく五つに分けています。地図はすでにいくつかある、ということです。

とはいえ、観察を始めるのに分類表を覚える必要はありません。手がかりになるのは、遠くからでも分かる二つだけです。その人の口ぐせと、手元に残るもの。ここでは、あなたの職場でも見かけそうな七つを挙げてみます。

開拓者型:「こんな使い方、できないかな」

開拓者型は、姿より先に声で分かります。「こんな使い方、できないかな」というつぶやきが、いつもどこかから聞こえてくる。誰にも頼まれていない実験を延々と続けていて、メーカーが想定していない場所にツールを向けては、限界がどこにあるのかを楽しそうに確かめています。大半の実験は失敗します。本人はあまり気にしません。立ち直りが早く、すぐ次を試しはじめます。この人がいる職場は、できることの上限がじりじり上がっていきます。一人は思い当たりませんか。

惜しいのは、その発明がたいてい本人の頭の中か、個人の作業フォルダで終わってしまうことです。よく効くプロンプトを自分だけで使い続けているなら、チームから見ると、無いのとほとんど同じなんですね。だから次の一種が近くにいると、この人の発明がやっと外に出ます。

仕組み化型:「それ、テンプレにしておきました」

雑談で「議事録の要約、こうするとうまくいくんですよ」と話す。その週のうちに、仕組み化型の手で、命名規則つきの共有テンプレと、回し方を書いた一枚が出来上がっています。この人がやっているのは、要するに変換です。誰か一人の手の中にある職人技を、誰がやっても同じ結果が出る形に組み直す。これは、会社の中でいちばん人数の少ない才能だと私は思っています。

見分け方は簡単で、成果物を見ればわかります。テンプレート、チェックリスト、静かに動いている小さなワークフロー。落とし穴は、誰にも使われない立派な仕組みを作り込んでしまうことです。よくできているのに誰も開かないマニュアル、どこの会社にもありますよね。それでも、うまく着地したときの効きは特別です。一人のコツが、翌月には全員の当たり前になっています。

伝道師型:「あなたの業務なら、こう使えますよ」

使える人はたくさんいます。教えられる人は、まったく別の才能です。伝道師型の持ち味は翻訳で、「このツールはこういうものです」ではなく「あなたの仕事なら、ここに効きます」と言います。相手の目を見て話し、詰まっている同僚の隣に座り、最初の一歩が実際に踏み出されるまでその場を離れません。

本物かどうかは、一点で見分けがつきます。一週間後に「まだ使ってる?」と聞きに行くかどうかです。この人が見ているのは、その場の盛り上がりではなく、翌週も動いているかどうかだからです。

検証者型:「この出力、根拠は?」

検証者型は、AIの出力を最後まで疑って読みます。落ち着いていて、急がず、自信たっぷりの文面にまったく動じない。最初の質問はいつも同じで、「この出力、根拠は?」。AIが嫌いというより、裏の取れていないもの全般に厳しいだけですね。ただ、AIはその「裏の取れていないもの」を、過去のどんな道具より速く量産します。

つい「止める人」という役に固定したくなりますが、そこは我慢のしどころです。職場全体の生成量が増えるほど、品質とリスクを見抜く目の価値は上がっていきます。腕のいい検証者型は、ダメ出しに「こうすれば通ります」を一行だけ添えます。それだけで、ブレーキ役が設計する側に半歩移動します。この目をどう活かすかは、別の記事にくわしく書きました。

先行実践者型:「制度より先に、もう使ってます」

先行実践者型を見分ける手がかりは二つです。妙に速くて仕上がりのいい成果物と、やり方を尋ねたときのわずかな言葉の濁り。ルールが固まる前から使いはじめていて、整うのを待たなかった人たちです。

規則破りに見えますが、たいていは逆です。意欲が書類の整備を追い越してしまっただけで、本来なら会社が持つべきリスクを、個人の肩で背負っている状態でもあります。この人が欲しいのは大目に見てもらうことではなく、安全に使える公式のルートです。それさえできれば、いちばん手が早い実践者が、明るいところで働きはじめます。

依頼者型:「◯◯さん、これAIでできる?」

依頼者型は、自分ではほとんど触りません。それでも、この人の周りではAIが絶えず使われています。口ぐせは部屋の向こうへ投げられる問いかけで、「◯◯さん、これAIでできる?」。強みは、誰に頼めばいいかを正確に知っていることです。管理職に多く、しかも過小評価されがちです。誰ができるかを知っているのも、立派な使い方のひとつですから。

見ておきたいのは、委任と丸投げのあいだの線です。弱いほうは、成果物の受け取り方を決めないまま渡してしまう。強いほうは、「できあがりはこういう状態」を先に握ってから渡す。順番が変わるだけで、頼まれた側の景色はまるで違ってきます。ここは、頼む側からは見えにくいところですよね。

静かな未使用者:「便利そうですね」

最後は、社内でいちばん誤解されている人です。静かな未使用者は導入説明会に出席しました。頷きました。「便利そうですね」と、社交辞令ぬきに本心からそう言いました。そして一度も開いていません。放っておけば、この先も開かないでしょう。

反対しているわけでもありません。反対なら、それはひとつの立場になります。この人がしているのはもっと静かなことで、見て、待って、周りの熱が通り過ぎるあいだも自分のペースを崩さない。しかも理由は、本人にも言葉になっていないことが多いのです。押したくなった方へ、ひとつだけ注意点を。押すほど遠ざかります。効くのは地味なほうで、5分で終わる最小の一歩を、急かさない誰かの隣で踏むことです。まだ使われていない関心は、抵抗というより、誰も取りに行っていない伸びしろです。この型が何を待っているのかは、別の記事にくわしく書きました。

図鑑に、順位はありません

図鑑の良いところは、順位がないことです。森にいちばん優れた鳥はいません。ここまでのどの一種も、職場に必要な仕事をしています。

  • 開拓者型が、新しい使い方を見つける。
  • 仕組み化型が、それを誰でも使える形にする。
  • 伝道師型が、実際に使う人のところまで持っていく。
  • 検証者型が、世に出る前に間違いを止める。
  • 先行実践者型が、ルールの外側で先に試している。
  • 依頼者型が、誰に頼めばいいかを知っている。
  • 静かな未使用者が、慎重な人をまだ納得させられていない、と教えてくれる。

開拓者型だけの職場は、混乱を量産します。検証者型だけの職場からは、新しいものが何も出てきません。混ざっていること自体が強みで、そしてどんな職場も、たいてい誰かが足りていない。私はそう見ています。チーム単位で眺めると、埋まっている役割と空いている役割がはっきり見えてきます。そう見ると面白い、という程度の話ではあります。ただ、一度気づくと会議の景色は少し変わります。

もっとも、図鑑を最後まで読むと、たいてい自分の番が回ってきます。あなたもこのどこかにいて、たぶん二つか三つのスケッチにまたがっているはずです。だから全体の地図は、15タイプを7因子で測る形にしてあります。自分の項を見つけて、自分の癖を知っておく。そうすれば次に資料を前にして「こんな使い方、できないかな」とつぶやいたとき、少なくとも自分が何型なのかは分かっているはずです。

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